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ようこそ先輩/H16.05.21 藤高

医薬品メーカーで働くこと 〜よりよい医薬品を提供することで “世の中の役に立ちたい”〜

田辺製薬株式会社 開発企画部
西岡 由紀子 10組(大阪)

 

 藤島高校生の皆さんこんにちは。私は昭和52年卒業生で、現在、大阪市に本社を置く田辺製薬に勤務しています。皆さんの中には薬学や化学を勉強して将来、製薬メーカーで働こうと思っている方もあるかもしれません。その参考になる情報を提供できればいいと考えています。

 私たち医薬品メーカーの使命は“よりよい医薬品”を様々な病気や症状で困っている患者さんに使って頂き、喜んでもらうことによって“世の中の役に立つ”ことにあると思います。ところで、「よい薬」の条件は何か知っていますか?

 3つあります。
(1) 薬効(薬としての効きめ)
(2) 安全性(副作用が少ないこと)
(3) 品質(どの箱の製品を飲んでもいつも必ず同じような効き目があること) です。
この3つのうちどれが欠けても“よい薬”とはいえません。

 これら3つがそろうような医薬品を考え、探し出し、製造し、様々な試験(理化学試験、動物試験、臨床試験)を実施して、厚生労働省の承認を受けてようやく、世の中にお届けすることができます(10年以上かかってしまいます)。

 また、“よい薬”は医薬品メーカーが手前勝手に作るものではなく、医療関係者ならびに患者さんの協力があってこそ生み出されてくるものなのです。

  例えば、田辺製薬が開発した医薬品の中に塩酸ジルチアゼム「商品名:ヘルベッサー」というものがあります。当初、この薬は狭心症の治療薬として開発していたのですが、医療現場のお医者さんから「狭心症で高血圧の患者さんに使ったら、血圧降下作用があった」という報告がたくさん寄せられました。そこで新たに研究を行った結果、血管を拡張させ血圧を下げる「カルシウム拮抗薬」という高血圧の薬として世の中に出すことができ、世界110ヵ国以上で使われる、世界に誇る独創的な医薬品となりました。

「ようこそ先輩」を終えて

10組 西岡 由紀子

 薬学部を出たらどんな進路があるか、医薬品の種類、医薬品が世の中に出るまでの流れ、製剤の開発研究、これから進路を決める生徒さんに役に立ちそうな各種情報を説明しました。製薬サンプルを持ってきて示したり、製剤機械(打錠機)の図を見せたり、なるべく高校生でも理解しやすい工夫をしたつもりですが、果たしてどこまで理解してもらえたか、少々不安です。

 対話型の授業というのは結構むずかしく、感じました。用意していた質問がむずかしかったのでしょうか。うまくレスポンスが得られませんでした。事前に提出したレジュメを生徒さんが読んでいると思い込んでいたのも、行き違いでした。

 最後に三年生の方が感想を述べられたのを聞きますと、製薬メーカーに興味を持たれている方も少なくはないようで、ちょっとはお役に立てたかなとホッといたしました。

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